万年筆インクの特徴を徹底解説!選び方・基本的な使い方まで
万年筆を使う上で万年筆用のインクを抜かしては語れません。
最近では若者から年配の方までお気に入りのカラーインクを万年筆に入れて楽しんでいるようです。
今回は多くの人が夢中になっている「万年筆のインク」について基本から応用の使い方まで解説していきます。
万年筆インクの種類と特徴は
一概に万年筆のインクといってもいくつかの種類があるのはご存じでしょうか?
インクの違いは色の違いだけだと思っている方が多いようですが、万年筆に使われるインクは種類によって成分が全く異なります。
インクの種類によって特徴も異なりますので、用途に応じてインクを使い分けることによって万年筆を使うのがもっと楽しくなります。
万年筆のインクの種類は大きく分けて3つあります。
染料インク
染料インクは最も一般的なインクです。万年筆用のインクの多くはこの染料インクです。
色材に染料が使われており、水に溶ける性質を持っています。
扱いやすく、万年筆内部のトラブルなども起きにくい初心者でも安心して使用できるインクです。
水に弱く、濡れると文字が読めなくなってしまう事もあります。また光の影響で色褪せが起こる恐れもあります。
顔料インク
色材に水に溶けない性質を持つ顔料を使用しているインクです。
顔料はとても細かな微粒子になっていて、耐光性、耐水性にも優れています。
また染料インクよりもはっきりとした筆跡となり滲みにくいです。
しかし、一度固まると溶けにくいため万年筆内部で固まってしまうと最悪、分解修理などが必要になりますので注意しましょう。
没食子インク
染料インクに特殊な製法で鉄分と酸を加えたインクです。
紙に筆記すると次第にインクが酸化していき、文字が黒に近づいていきます。
同時に耐水性、耐光性も増していくので長期保存にも向いています。
化学反応を利用して色を出すタイプですが、現在はあまり多く販売されていません。
色の移り変わりが味わい深く、万年筆愛好家に好まれるインクです。
インクの使用形式は?
万年筆でインクを楽しみたい場合、あらかじめインクが入ったカートリッジを使用する方法と、ボトルからコンバーターでインクを吸入して使用する方法の2つがあります。
手軽さを求めるなら「カートリッジ」形式
カートリッジを使うとお手軽にインクを使用することが可能です。
プラスチック製のカートリッジ内にインクが入っていて万年筆に装着するだけで使用できます。
ただしカートリッジは販売されているインクの色に限りがあるため、色数のバリエーションは少なめといえます。
インクを楽しむなら「ボトルインク+コンバーター」形式
この方法なら好きな色のボトルインクと万年筆に適合するコンバーターさえあれば使うことができるので使えるインクの色は無限大です。
さまざまなインクの色を楽しみたい場合はこの方法がおすすめです。
インクの基本的な扱い方
基本的に万年筆とインクは同じメーカーを使うのがおすすめです。
万年筆がPILOT製ならインクもPILOT製を使うといいでしょう。
インクは混ぜない
同じメーカーのインクでも、インク同士は絶対に混ぜてはいけません。
化学反応により思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
ただし混色OKなインクも存在します。
入れ替えるときはしっかりと洗う
インクを別の色に入れ替えるときは万年筆の内部をしっかりとクリーニングしてあげましょう。
ペン先を水に入れて内部のインクを完全に溶かしだし、乾燥までしっかりと行いましょう。
なるべく毎日使う
万年筆はしっかりと使い続けてあげることが一番のお手入れだといわれています。
内部でインクが固まってしまうなどのトラブルを避けるためにも、インクを入れた万年筆はなるべく毎日使用するといいでしょう。
万年筆インクの注意事項は?
万年筆には各ブランドがあり、インクも同様に多種多様な種類が展開されています。
万年筆を選んだ後に、お気に入りのインクを探し出すのも万年筆を使う大きな楽しみの一つです。
しかし万年筆のインクを選ぶうえで注意点があります。
それは大前提として万年筆と同じブランドのインクを使うという事です。
これは万年筆ブランドごとにインクの粘度や表面張力などが異なっており、万年筆はそのブランドごとに合わせてインクが設計されているためです。
他ブランドのインクを入れるとインクの出が悪かったり、インクが出すぎてしまったりすることがあります。
またメーカーによっては他ブランドのインクを使用して入れば保障の対象外になるなどのこともありますので注意しましょう。
こだわる方には「オリジナルカラー」がおすすめ
市販されているだけでも数えきれないほどの種類が存在する万年筆のインクですが、もっとこだわりたいという方にはオリジナルカラーのインクがおすすめです。
セーラー万年筆ではインクブレンダーの石丸治さんがお客さんのリクエストを聞きながらインクをブレンドしてくれる「インク工房」を定期的に開催しています。
自分のイメージ通りの世界に一つだけのカラーインクを作ることができます。
また他にもインクを調合してオリジナルカラーを作れるお店や、イベントが開かれたりしているので行ってみると面白いと思いますよ!
おわりに
万年筆のインクは性質や使い方の基本を覚えると、万年筆ライフをより楽しいものにしてくれます。
実際に自分で筆記してみないと微妙な色合いがわからない場合もあります。
また、使う万年筆によってもインクの表情は変わってきます。
ですのでどんどん色々なインクを試してお気に入りを探してみてください。